「いくさ世」の非戦論 ウクライナ×パレスチナ×沖縄が交差する世界
インパクト出版会から表記のタイトルの論文集が刊行されました。このなかで「暴力の人類前史の終りと社会解放に向けて」を寄稿しています。 この拙論で書いたことは、ブログでも何度か書いてきたテーマ(これとかこれ)を敷衍したものになります。論文のタイトルは「暴力の人類前史の終りと社会解放に向けて」と大風呂敷を拡げてしまったのだけれど、到底ののタイトルに相応しい内容とまではいっていないだろうと思います。拙論では、主に暴力を論じるときに、繰り返し参照される定番の議論のなかで、フランツ・ファノンの暴力論とベンヤミンの暴力批判論をとりあげました。そして、シモーヌ・ヴェイユにも紙幅を割きました。ヴェイユはともかくとして(それならアーレントを取り上げるべきだろう、という意見もあるでしょう)、ファノンとベンヤミンへのアプローチは、将来の社会変革の手段から暴力――ここでは主に人に対する殺傷力のある暴力――という選択肢を排除する必要性を述べる上で、避けられない議論だと私が考えたこの二人について、考え方を述べましたが、とくにファノンについての私の見解には、異論がありうるかもしれないと思っています。 ファノンの暴力論 […]