意味と搾取(改訂版)第三章コンピュータをめぐる同一化と恋着
序章 第一章 第二章 Table of Contents 1. コンピュータと無意識の位置 1.1. 行動主義の陥穽 現代のコンピュータ・テクノロジー/コミュニケーション(CTC)に基く監視社会化を支えている考え方は、監視対象としての人間の外形的な行動や言語化された表現を分析し、将来の行動を予測することができると仮定するところにある。支配的構造が行動予測で目指すのは、単に予測するだけでなく、権力の意図するように人間の行動を制御することだ。1 この仮定は、遺伝子科学の進展のなかでクレペリン流の人の性格を生得的な遺伝要因によって判断する傾向に再び注目が集まったりもしていることにも関連があるだろう。つまり、監視作業で収集されるビッグデータ――そのなかには遺伝子情報や医療情報も含まれるわけだが――が膨大に積み上げられ、より精緻になればなるほど人間の言動の原因を明らかにすることができ、将来の行動を予測できることになると考えられている。 こうした発想が、自由を標榜する近代社会で支配的な技術の傾向になっているということは何を意味しているのだろうか。近代社会は、本当は人間の自由を積極的に肯定しているの […]